5/10~5/16

 日記を書くのがだいぶ遅れている。そもそもオレがこういう形で日記を付けようと思ったのはオレの人生が楽しすぎるために(いつか見返したくなる時のために)記録を付けておきたいから……という理由なのだが、あまりに楽しくも忙しい毎日を迎えるとそもそもその記録を付けるのも難しくなってくる。思い出しながら書いていこう。

 まず、5月の2週目。静岡~名古屋周辺を責めたい、ということで2日間の予定を組んだ。初日にサウナーの聖地「サウナしきじ」へ行き、2日目に森・道・市場(というフェスがある)に行く。考えてみるとオレたちが動くのはいつも自分のためだけで、それは具体的には、楽しいイベントがあるとか気持ち良いことができるとか、まあそういうことのためだけに生きているのかもしれない。2PACじゃないけど、Thugz Lifeって感じだ。

 昼頃に新幹線に乗って静岡駅へ着く。名古屋はあんなにも遠く感じるのに静岡は意外と近いもので、あっという間だった。そのまま静岡でもっとも有名なハンバーグ・チェーン店のさわやかへ行く。無計画に駅弁を食ってしまったオレ達に、げんこつハンバーグ250gはキツかったが、それはともかく、いつ食べてもおいしいものだった。前に浜松に来た時、タクシーの運転手さんが「さわやかは新鮮な牛肉を使う必要があるから工場から遠い静岡県外には店を作れない」と言っていたが、それも確かに納得出来る。ガワは焼けているのだが中はヤワい、オリジナルな味。しかも安い。素晴らしいことだ。地元ヨコハマのハングリータイガー、栃木で食べさせてもらったフライングガーデンなどと共に忘れがたいハンバーグ・チェーンだ。

 そしてタクシーで10分ほど揺られ、サウナしきじへ。しきじは一見普通の健康ランドのようだ。館内着を渡されいそいそと浴場へ向かう。ドドドドドドド……と水風呂が滝のように循環している……。サウナーとしてまだまだ初心者だが、それなりの場数も踏んできたオレはこれはヤベえぞ、と思ったが実際ヤバかった。天然地下水を使った水風呂と高めの温度でセッティングされたサウナにととのうためのベンチスペース、シンプルだがこれでいい、これがいいと一端の口を叩きたくなるもの。素晴らしい。チリバツに整ったあとはただひたすらチルアウトである。上階にはリクライニングシートが並んでいる他人の家みたいなスペースがある。スパの休憩エリアといえば漫画だが、しきじのチョイスはかなりオールドスクールだった。寝転びながらひたすら、手塚治虫のクラシック『火の鳥』を読むのであった。腹が減ったのでビビンバを食べ、友人と道中で買ったMTGなどをしたり何やら話したり。なんだかんだで0時になると、おっさんに混じりながら泥のように寝た。

 翌朝6時起きで向かったのは森・道・市場である。ひたすら暑くて辛かった。見たのは柴田聡子inFire→蓮沼執太フィル→オウガ→C.O.S.A x Kid Fresino→般若 とその他もちょいちょいと。蓮沼執太フィルは環ROYのラップを久しぶりに聞けてよかった。一緒に観た友人は「(昔に比べて)フロウが粘ついてる」と評していたが、オレはそこにメロウネスを感じていたりもして、結構好きなのである。全体としてもとても良かったので、ワンマンにも行きたくなった(が、調べてみるとサマソニ2日目と被っていた……)。それと余計なお世話だと思うが個人のギャラがどうなっているのかが気になった。ベストはコサシノかもしれない。2人の息はガッチリ噛み合ってて手慣れた感じすらあるし、互いのソロも"Easy Breezy""Coincidence""知立Babylon Child"等名曲がサクッと披露されて文句なし。フレシノのワンマン・チケットも勢いで買ってしまった。般若も気合が入ったエンターテイナーといった感じで良かった。ヒップホップというのは生き様、みたいなことを誰しもが言うが、優れたMCというのは往々にして魅力的な人間性を持っているなと感じた。具体的にはユーモアだったり視座だったりなんだけど、優れたライブを観ると誰もがそのMCのことをいいなと思って帰っていくところがヒップホップの良いところなのかもしれない。テキトウです。

 帰ろうと思ったら人身事故があったらしく帰りの電車は本当に地獄のようだったが(しかしここでキレてはいけない)、なんとか友人の家に泊まらせてもらい、クソみたいな話で盛り上がって寝た。森・道・市場はそれなりにイイフェスだったと思う。快適すぎてフェス感がなかったけど。

 翌朝も6時に起きて、一路パシフィコ横浜に向かった。オレはもう限界なんだ、という思いを胸に早朝から写真会。朝は長久玲奈さんと山田杏華ちゃんと撮った。長ちゃんは相変わらずかわいいにステータスを全振りしたような感じで、そこが良いと思う。余計な感情はいらない、ただそこにあるカワイさのみを愛する。それがオレの長ちゃんとの接し方であり、それは正しいことだと思っている。色々なオタクがいるし、色々なスタイルがあって、オタク個人の中でも色々なアイドルには色々な接し方がある。考えてみれば当たり前のことだ。あと、杏華ちゃんは長ちゃんみたいな感じなのかなと思ってたが、意外と女の子女の子してるというか感情があっておもしろかった。今の時代、在宅も一つの選択だが現場へ行かないとわからないこともあるのである。中でもアイドルの人間性に思いを馳せながら握手を自分のものにしていく……『現場』の醍醐味だ。あと山田杏華ちゃんとはチェキが当たったのでありがたく撮らせてもらった。あまり慣れてなかったみたいで1分間くらい話せてしまったのだが、将来の夢はモデルで今年はそういう仕事をやれるよう頑張りたいとのことだった。オレたちくらいになるともはや夢とかそういうのはなく、日常の延長の中でどれだけぶっ飛ばせるか、ってとこが頑張りどころなのだが、杏華ちゃんには夢へのルートを頑張ってほしい。オレらはそれを見て、応援することそれ自体を楽しむから。

 パシフィコ横浜を中抜けし、お台場に人間交差点を見に行く。生憎のキツすぎる雨のせいで真面目に見れたのはBAD HOPとPUNPEEのみ。しかし、良かった。BAD HOPは本当に若い世代に人気なのがわかるパワーが詰まってて、見てて眩しかった。ノリ方も最近のラップって感じでみんなでフックを大合唱したくなる。PUNPEEはさすがの完成度。”リスペクト”のビートジャックをしたりMETEORと”Play My Music”とか”4800日後…”をキックしていた。個人的にも色々思うところがあり、印象的だったがここで深くは語らないことにしたい。キックとライムスターを見ずにまた横浜へ逆戻り。勘弁してくれ。しかし小田えりなさんと写真を撮ると辛い気持ちはなくなる。これが推しメンの力というやつである。そして推し増し券(というものがあるのです)を使い、山田菜々美くんと太田奈緒さんと撮る。2人(特に奈緒)のことが大好きになって終わる。はっきり言わせてもらうとキリがない。全員好きになるからだ。だが感情が動かされることといえばもはや、このくらいなのだ。だからもう少し突っ走ろうと思う。そんな思いを胸にオタクと飲んで一日を終えた。

 平日は基本特に感情なく音楽を聞いたりジムに行ったりしているのだが、珍しく映画。早稲田松竹のレイトショーでジェームズ・グレイ『ロスト・シティZ』を観た。冒険映画かと思いきや、冒険に囚われた男と血で繋がったその家族についての映画であった。まあジェームズ・グレイですからねえ、などと利いた風な口をきく。しかし『インディ・ジョーンズ』を希釈して『地獄の黙示録』と『グリーン・インフェルノ』をブチ込んだような"川を下る男の妄執"映画でありながら、ダリウス・コンジのオレンジがかった光の捉え方のせいなのか、見ていてひたすら気持ち良いのがスゴい。妄執系の話なのに音楽も画面も重厚で伝記映画みたいなルックがあるのがおもしろい。初っ端の躍動感溢れる鹿狩りからの大きな時間的隔たりを経て、2度目の狩りでのロングショットに泣きましょう。そしてそこから探検へ向かうまでのシークエンスの連なりは筆舌に尽くしがたいものがあった。

5/2~5/9

 下書きが消えたので書く気がなくなった……。『ゲット・ダウン』とか最近見たドラマについて書いていた。

 5月4日は宇宙の日である。宇宙の日はROVOが日比谷野音で演奏することでその名を知られている。昔から話は聞いていたが、坂本慎太郎が出るからという理由で初めてチケットを買った。春先の野音の最高の雰囲気・気候でROVOとか坂本慎太郎とかGOMAを聞くのは素晴らしい体験だった。特に坂本慎太郎は期待を上回る良さ。『ずぼんとぼう』であんなにも盛り上がるとは!しかし感想がイマイチ薄いのは酒を飲まされて踊ってたら終わってたからです。その後仲間と新橋の『カーン・ケバブビリヤニ』へ。3000円くらいのコースを頼んだ。目玉のビリヤニは本当に美味しかった。大量のスパイスがゴロッと入っていて色んな味がドカドカ押し寄せる。全然辛くないのに汗が吹き出てくる感じがたまらない。カレーも北インド系でウマかったのだが如何せんボリュームが半端なくて苦しかった。その後新橋の『オアシスサウナアスティル』へ。夜遅くだったので人も少なく快適で、広々としたサウナもいい感じの温度、清潔な水風呂もキッチリ16℃キープ。間違いない。タイルの寝椅子(これがまたイイ感じ)でじっくりチルしてととのった。

 

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とてもおいしかったビリヤニ

 

 翌日は元町にAKB48チーム8小田えりなさんの1日署長イベントがあったのでそれに行った。オレがミラーレスカメラを買ったのははっきり言うと、こういうイベントのためだ。仲間と現地でサクッと合流して(特に打ち合わせもせず適当に集まる感じがオレは好きだ)アイドルさんの写真を撮りまくる。小田えりなさんはとにかく、かわいい。かわいいだけでなく、アイドルであり、人間であると思う。そこがとてもいいし、応援したくなる。それを実感したイベントだった。イベントの感想としてはやっぱりこう、自分の立ち回りとかカメラの撮影スキル、カメラの性能とか高められるところは山程あるなと実感した。オタクとして何かを高めるということは、人生の何かを捨てることでもあるのかもしれない。つまりはどれだけ突っ張れるか、みたいなところなんだと思う。まあでも、メチャクチャ楽しかった。基本的にはこういうことだけを考えて生きていきたいものである。中華街で永遠に飲み食いして1日を完全に終了させた。

 その翌日は休んで映画でも見ようと思ったが急遽友人たちとお気に入りの店で飲み会をした。旧友の近況と出会い系アプリについて情報交換することの出来た、有意義な1日だった。その後早稲田「松の湯」でサクッと3セット。ブルータルな高温サウナとハードコアな水風呂、東京の銭湯は容赦がない。

  平日は特に何をするでもなく、村上龍『すべての男は消耗品である』と山本直樹『レッド』をKindleでだらだらと読み、Netflixで『あいのり Asian Journey』をようやく完走したくらい。あいのりAJは実に面白いので皆さんに見ていただきたい。そんな感じです。振り返るとオタクしたりオタクと遊んだりしかしてないですね……。

4/28~5/1

 何年か仕事をしたところ、あまりに感性が劣化して辛いので、ブログ(この言葉も今ではどこかなつかしいですね)を再開してみようと思いましたので、やります。

 土曜日。世間が『レディ・プレイヤー・1』や『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』で盛り上がってる中(まあこれらのやつはどうにかして見ます)、ヴェーラで1本だけ。マックス・オフュルスの『快楽』(1952)を見ました。モーパッサンの短編小説を原作とした3つのエピソードからなるオムニバス映画。こういう形式は増村が参加した『女経』とか『嘘』を思い出す。2話目の屋根裏部屋に入った女が窓を開け外を眺めるシークエンスや、3話目の突然のダイナミックな主観撮影等、見どころ多数。クレーンでセットをぐわーっと覗き込みながらくるくると回っていくカメラワークは超テクい、神域ィ!田舎風景と女の描き方はルノワールっぽかったな~。個人的オフュルスベストは『魅せられて』なのだがそれに匹敵するおもしろさ。皆さんも見ましょう。

 日月とチーム8三昧。日曜日はガイシホールでいわゆる大箱コン昼夜2部構成。昼と言っても開場が10時であるため、朝は早い。仕事より早い6時起きで新幹線に乗って名古屋へ向かう。昼も夜も名古屋名物を食べられるか微妙な時間配分と場所だったので、モーニングだけでも……と思っていたがそもそもお腹が空いていなかったので、食べられず。実際に昼はサイゼリヤで、夜は食べなかったので、名古屋らしいことは何もしなかった。まあ、こういうことは初めてではない(ので良いというわけでもない)。

 ライブの感想としては色んなこと込み込みで楽しかったな~という。自分はアイドルのライブの良し悪しがあまりわからない……というか、あまり良くないとされるであろうライブでも距離とか自分のコンディション、連番者次第で全然楽しくなる。昼公演は昔馴染みのオタク(ビッグ・リスペクト)と一緒に見れて、アリーナで前の方で見れたので、かなり楽しかった。しかし何をやっていたかはあまり覚えていない。推しメンが『やりたがり屋さん』という曲をやっていたのと、『47の素敵な街へ』の間奏でメンバーが各都道府県別に自分の県名を叫ぶパートがあるのですが、不在のメンバーの代わりに選ばれたオタクに叫ばせるという誰が得をするんだ?という企画の絵的な面白さが全て持っていってしまった。今思い出しても笑える。AKSさん、これは恒例企画として毎コンサートでやってください(緊急提言)。

 昼間は別のオタクたち(感謝)とサイゼリヤでメシを食い、1人で夜公演を見た。スタンド席最前だったので思いっきり力を抜いて見ようと思っていたら、後方ステージとメチャ近いなかなかの席だったので楽しめた。特にユニット曲が良かった。はっつってパフォーマンスも思いがギッチリ詰まっててイイよな~と認識させられた『雨のピアニスト』、行天・岡部・服部のエロい肢体とカヒミ・カリィ的ポップスが絡み合う『シャワーの後だから』(コレ本当いい曲ですね)を間近で見れたのは僥倖だった。あとお配りコーナーで大西桃香さんから色紙を投げ渡してもらえたのはラッキーでした。お礼に帰りの新幹線で握手券を買いました。

 月曜日は写メ会。1部に長久玲奈さんと撮影し、そのカワイさに改めて驚愕。次が5部だったので、合間に万葉倶楽部へ行った。時間無制限2500円(会員価格)。サウナは特段温度が高いわけではないが、4段になっていて縦に広いため、4段目に登るとかなり熱が充満していてイイ。水風呂は17~18℃くらいか。サウナも水風呂もセッティング自体はそこそこって感じだが、そこまで人が多くないというのと綺麗に保たれていること、外に寝っ転がれる外気スペースがありそこでブッ倒れるのがとても気持ちいいこと等諸々合わさって最高。4セットでバッチリととのいました。30分くらいリラックスルームで仮眠をとり、パシフィコ横浜に戻る。小田えりなさん、岡部麟さんと撮った。そしてサインを大西桃香さんにもらった。俺はそういう人間、28歳。でもまあ、これからもかましていこう。そんな感じです。

山下達郎アコースティックライブ@新宿LOFTに行ってきた

タイトル通りの記事を書きます。LOFT40周年の記念として行われた山下達郎さんのアコースティック・ライブに行って参りました。達郎さんのMCによれば6万人ほどの応募があったとのことで、倍率100倍!!(昔のようにLOFTで当日券を売れば暴動が起きてしまうので、イープラスを使ったがそれも良し悪しと仰られていました)。ということでなんというか 今年中の運全部使ってしまった感じですが、しかし悔い無し。本当に凄まじいライブを見せていただきました。

こんな近距離で達郎さんを見ることが出来る……!という超ミーハー的な喜びがありまくりだったのははっきり言って否めないのですが、それを置いても山下達郎難波弘之伊藤広規の"城北トリオ"での演奏がとにかく圧倒的でした。

アコースティック・ライブと聞いて浅学非才な自分はアコースティックゆえにメロディーと歌で聞かせてくれるライブなのかと勝手に想像していたのですがしかし、実際ベースはエレキだし音の厚みは通常編成でのライブとも遜色ないほどの印象すら受けました。何より驚いたのはグルーヴィーで踊れる、つまりは(本人も仰られていましたが)本当のロックンロールであること。これです。ドラムなしでこれほどビートを感じさせるのか、と。JBの映画でJBがバンドメンバー全員に「お前が演奏してるのはなんだ?」と「ドラムです」と答えるまで同じことを聞き続けるシーンがありましたが、まさにこんな感じ。3人がそれぞれギターでありドラム、ベースでありドラム、キーボードでありドラムでした。よく「ボーカルを際立たせる演奏が~」みたいな常套句がありますけど、そんな生易しいものではなく、それぞれが主張し合い、キメまくるのだが不思議とこれしかないというバランスで音が鳴り響いて、その中から達郎さんのボーカルが立ち迫ってくるような……そんな凄い演奏でした。自分の拙い語彙と文章力では1/100ほども伝わらないことを確認しながらライブのレポをさせていただきます。

開演してすぐにスクリーンに映し出されたのはSugar Babe時代の『今日はなんだか』のライブ映像!Dopeすぎる若かりし頃の達郎さんのルックスにビビりながらしかし貴重な映像が見れて眼福。次に近年のライブでの『恋のブギ・ウギ・トレイン』映像が流れ、達郎さんのギターソロにぶっ飛び、既にめちゃくちゃ興奮してました。

そして現れる3人。『ターナーの汽罐車』からスタート。とんでもない圧を感じました。「アコースティック」という字面から想像するフォーキーでアーティスティックなイメージを最初の出音でぶち破るヘヴィでグルーヴィー、ガッチリと噛み合った演奏も最高。ドラム無しでもあの印象的なベースラインが超タイトに牽引してて最高な『Paper Doll』を経て『夏への扉』。ここでは途中のパートを難波弘之氏が歌うという嬉しい驚きもありつつ最高。鈴木茂砂の女』カバー等レアな演奏が見れたのも嬉しい。

通常ライブ同様達郎さん1人でのシークエンスもあり、なんとここではカラオケを披露。新曲『CHEER UP! THE SUMMER』も嬉しかったですが(シャレですよ、と前置きしながら)『硝子の少年』をフリ付きで歌う達郎さんが見れたのはめちゃレアなのではないでしょうか。アカペラコーナーも当然あったのですが、ここが一番衝撃的で、ライブハウスならではの趣向として(シャレですよ、と前置きしながら)マイク無し・ラジカセからコーラスを流してのアカペラが披露されました。生声……。『SO MUCH IN LOVE』にも感動しましたが、『CHAPEL OF DREAMS』でのファルセットといったらもう……。

この曲が誕生して44年経っても一向にこの曲の問いかけは有効であることについてMCからの、『What's Going on』カバー。先日のツアーでも『DANCER』が披露されてましたが、ポップ・ミュージックの訴えかける射程というか抽象的であるからこその力強さを改めて実感しました。『蒼氓』や『さよなら夏の日』といった"聞かせる曲"とアコースティック編成の親和性は触れるまでもなく。『BOMBER』の通常編成とくらべても衰えないファンキーなグルーヴに卒倒しつつ『RIDE ON TIME』で本編終了。いつ何度聞いてもこのイントロの"始まる"感じは凄いと思うのですが今回は直に歌声を浴びせられるような形だったのでより強く感じました。

アンコールでの『DOWN TOWN』『クリスマス・イブ』『LOVE SPACE』の三連発はもはや嬉しいを通り越してまだやるのか!!と思わされるほど、とんでもない濃厚な時間でした。カラオケやアカペラパートといい、初心者からおなじみさんまで全方位対応のセットリストといい、山下達郎氏が素晴らしい職人音楽家でありながら同時にサービス精神の塊であることを再認識させていただきました。サービス精神といえばMCも相変わらず軽快で、落語のような飄々とした風通しのいい喋りは音楽と同様、聞いててとても気持ちよかったです。カラオケは自分では行かないのだが連れていかれた話には思わず爆笑してしまった……。

そんなこんなでとにかく超絶濃厚な3時間超でした。今までの人生で一番衝撃的なライブであったと言ってもまったく過言ではない経験をさせていただきました。来年の3月からまた全国ツアー(とアルバムももしかしたらあるかも?)とのことなので万難を排して向かわさせていただきたいと思います。セットリストとか素人のべらべらした感想をインターネットに放出してしまって火炎放射器で焼き殺されないかが目下の心配です。

 

セットリスト(記憶違い多分あります)

今日はなんだか(VTR)

恋のブギ・ウギ・トレイン(VTR)

ターナーの汽罐車
Paper Doll
夏への扉
過ぎ去りし日々 “60's Dream”
砂の女鈴木茂 cover.)
サンフランシスコ(武蔵野タンポポ団 cover.)
DRIP DROP
モーニング・シャイン

(カラオケ)
CHEER UP! THE SUMMER
硝子の少年

(アカペラ)
CHAPEL OF DREAMS
SO MUCH IN LOVE

What's Going on(Marvin Gaye cover.)
蒼氓
SINCE I FELL FOR YOU
さよなら夏の日
BOMBER
RIDE ON TIME

(アンコール)
DOWN TOWN
クリスマス・イブ
LOVE SPACE

YOUR EYES

1・2月近況

音楽

一番衝撃的だったのは山下達郎のライブで、短期間に2回行ったがまったく色褪せず。60代とは思えない声と歌の笑ってしまうほどの迫力に3時間の長丁場を一瞬に感じた。ヒット曲を出し惜しみせずジャンジャン披露するミュージシャン根性にも頭が下がるが、山下達郎のドゥ・ワップの凄さに気付いたのが一番の収穫か。ひたすら『ON THE STREET CORNER』シリーズを聞いてます。年明け早々行ったTuxedoのライブも何故か最前で見られて思い出深い。音源よりも更にタイトでマッシブなファンクを感じつつ、それ以上にエンタメ精神が詰まっていて実に良かった。アイドルは飽きそうだなあとなるタイミングでTPDを見たりアイドルネッサンスを見たりしてまた持ち返すを続けている状況です。

レコード作品ではDavid Bowie最高の一語に尽きてしまいそう。消費活動といえばジスモンチもチャカ・カーンも見れそうなのでそういった人々の音源をひたすら聞きつつ、色々なレーベルが出してるソウルやジャズ、ブラジル音楽そしてヒップホップ(なかなか聞けないだろうなと普通に諦めてたアキネリとかラス・カスとかカムとか出ててびっくりしました)の1000円台盤をボコボコ潰していくというお気楽さ。カニエもケンドリックも聞けていない……。猛省。あとはフリースタイルダンジョン見てます。

映画

1月、2月と京橋フィルムセンターで三隅研次特集が行われていたので、それによく行っていました。といえども20数本しか見れていないのですが……。まあしかしどの作品でも先鋭的且つ凄味に満ちた三隅研次の演出と京都大映撮影所全盛期の美術を堪能出来たのは良い体験だった。見た中では『無法松の一生』『眠狂四郎無頼剣』『舞妓と暗殺者』『眠狂四郎炎情剣』『無宿者』『なみだ川』『座頭市あばれ火祭り』『桜の代紋』『古都憂愁 姉いもうと』『雪の喪章』『狐のくれた赤ん坊』(見た順)が特に良かった(剣三部作とかその辺はDVDで見ていたので駆け付けなかったことを後悔)。これまで彼のフィルモグラフィーに関しては10本に満たない数をあまり考えずに見たことしかなかったので、今回の特集で50年代後半から70年代前半までを鳥瞰し、三隅研次の演出における主題をぼんやりと体型立てて掴めたり掴めなかったり……。ところで『眠狂四郎無頼剣』の脚本は伊藤大輔であるわけだが、偶然見た伊藤大輔監督作の二本も壮絶な作品で衝撃を受けた。『この首一万石』『忠次旅日記』の二本(とその他の脚本作)に通底するあまりのリアリズムというか緻密な時代考証と周到な演出を積み重ねた上でラストに"いかにも"なカタルシスを持つ、映画的としか言いようがない場面を持ってくるという……これには参ってしまう。伊藤大輔監督作を今更ながら掘り下げて見てみようと決意しました。

これ以外だとフラーを見たりオリヴェイラ原節子クストリッツァをつまみ食いしつつ。新作では『パディントン』『オデッセイ』『キャロル』が良かったかな(全然見れていない)。

その他

2DS買ってポケモン緑やってます。ピカチュウとピッピとか、かわいいポケモンを育てて女子ウケを狙ってます。よろしくお願いいたします。

2015年間ベスト

今年は全然音楽聞けませんでした!映画も新作の10倍くらい旧作ばっか見てたので歯応えのない年間ベストになってすいません。

年間ベストアルバム

  1. Kendrick Lamar / To Pimp a Butterfly
  2. Soichi Terada / Sounds from The Far East
  3. KOHH / DIRT
  4. Kamasi Washington / The Epic
  5. Jamie XX / In Colour
  6. cero / Obscure Ride
  7. Gonno / Remember The Life is Beautiful
  8. Jim O'rourke / Simple Songs
  9. Tuxedo / Tuxedo
  10. 東京パフォーマンスドール東京パフォーマンスドールZEPP TOUR 2015春~DANCE SUMMIT“1×0(ワンバイゼロ)”ver3.0~

以下感想を短く。①どこまでも誠実な歴史と音の探求の成果。アメリカ史(のようなもの)と個人史が交配しながら猥雑なものへと変容していく姿がとてつもなく美しい。これを年間ベストの1位に置くことに若干の気恥ずかしさを覚えつつ、そうした自意識を乗り越えるような大傑作であることを確信している。

②オプティミスティックでハッピーな、爽快で美しいディープ・ハウス。ハウスのクリシェを用いつつも、彼の基質が反映しているのか極めて作家性の高いものへと仕上げている。

③『YELLOW TAPE 3』とセットで。ヒップホップの面白さが横溢しているのは、KOHHが強奪による錬金術というこのジャンルにおけるきわめてオーソドックスな手法を用いているから。

④往年の「スピリチュアル・ジャズ」より理屈的で、野蛮というよりインテレクチュアル。ただしカマシは野生を放棄しているのではなく、客観視しながら統制しており、だからこそこの3枚組のアルバムには興奮と持続が融合している。ライブも素晴らしかった。

⑤今年は多分クラブに行き夜を明かすということをしなかった……。のもあってか、例年よりクラブ・ミュージックを熱心に聞くことは少なかった。だからこそ、なのか今年はこの静謐で瑞々しい「ハウス」に熱中した。端正な仕上がりだがつまらないわけではなく、ここにはソウルの息遣いがある。"All Under One Roof Raving"を聞こう。

⑥ブラック・ミュージックの"Replica"を標榜しているが、単なる模造品ではなく、様々な音楽の断片が散りばめられており、またそのどれでもないというまさに"Eclectic"なアルバム。マジック・リアリズム的手法で世界を立ち上げていく様も見事。

⑦バレアリックでエレガント。ダンス・ミュージックというよりも更に瞑想的で、ドラムレスの曲の美しさときたら……。②と併せてどんなシーンでもよく聞いていて、毎日を彩ってくれるアルバムだった。

⑧チェンバー・ロックとプログレッシブ・ロックが大きな参照元としてあるとしても、どう調理すればこうなるのだろう。コンパクトに仕上げている点にも驚嘆。切っても切っても別の切り口が出てくる、魔法のようなアルバム。"Eureka"より好きかも。

⑨昨今のムードの一つの決定版。カッコいい。

⑩凄まじい熱気と集中力に満ちたライブの記録。音源が今一つ弱かったこのグループの魅力を知るにはもってこいのアルバムでもある。

 

年間ベスト映画

  1. マッドマックス 怒りのデスロード
  2. ハッピーアワー
  3. インヒアレント・ヴァイス
  4. ラン・オールナイト
  5. ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション
  6. 海街diary
  7. ワイルド・スピード スカイミッション
  8. THE COCKPIT
  9. ブラックハット
  10. スター・ウォーズ エピソードⅦ フォースの覚醒

①誰が見てもどこから切っても面白いのは周到に作り込まれた映画世界を、ただ切り詰められたアクションによる語りでのみ、展開しているからだ。映画史に残るべき傑作にリアルタイムで立ち会えた興奮と共に、今年一番心に残った作品だ。というか単純に、こんな面白い映画他にある?

②物語の中心に据えられている女性4人の描き方は確かにラディカルで目を見張るものであるのだが、ここではむしろそうした性差を超えて孤独に彷徨える魂に肉薄しようとする。様々な映画的記憶が呼び起こされる作品だが、中でも最良のカサヴェテスに匹敵するかの如き被写体への寄り添い方は忘れがたい

③2時間超に渡ってダラダラとゆるく進行していく繋ぎはサイケでドラッギーだが、目を見張るべきショットは多くある。また、クローズアップの多用と長回しが画面に緊張感をもたらしている。カンの"ビタミンC"と長回しのタイトルバックはめちゃくちゃ格好いいし、ニール・ヤングの歌が響く中2人の男女が雨を走り抜くシーンは今年一番愛おしい場面だった。

④この監督と俳優のタッグによる前作『フライト・ゲーム』はあからさまなジャンル映画のノリが荒唐無稽で最高だったのだけれど、今作はシンプルな逃走劇。これまたリーアム・ニーソンが本当に素晴らしく、夜のニューヨークと殺し屋たちの闘い描写はたまらないものがあった。リーアム・ニーソンが素晴らしいといえば『誘拐の掟』も。

トム・クルーズトム・クルーズであることの凄さ。骨太なアクションも素晴らしい。

⑥最後のショットが特に良かった。

⑦車を空から落として空から襲撃しよう!!!という小学生レベルの発想筆頭に、年々迫力と荒唐無稽さを増していくCG多用の大味アクションだけでも満足なのだが、今回に関しては想いの映画でもあった。拭いがたい現実がどこまでも荒唐無稽であるべきフィクションを侵食していく姿に不快感がないのは、それが真摯な愛から成るものだから、と言い切りたい。

⑧映画が作られていく過程と曲が出来上がっていく過程が重ねられているのがおもしろい。本来なら切り捨てられるはずの試行錯誤そのものが既に映画であり音楽になっている。

⑨車が爆発してからこの世で最高の映画になります。

⑩視線や手などの演出が思ったより行き届いていたところが良かった。

『東京パフォーマンスドール~ダンスサミット ネイキッド2015夏』を観てきた

東京パフォーマンスドールのイベント、『ダンスサミット ネイキッド2015夏』に最近通っている。3クールに分かれており、1クールにつき6回公演をするのであるが、俺はそれぞれの最初と最後へ行くことにした。今これを書いているのは第2クールの2回目が終わった夜である。

ところで、なぜこのタイミングでこの文章を書くことにしたのか。その理由はひとつで、とにかくこれが本当に、素晴らしいライブであるからだ。興奮してしまった。見逃すべきではないと思う。心ある人は心して見ていただきたい。シブゲキという200人ほどしか入らない小さめの箱であることも影響しているのかもしれないが、とにかく一つの塊のような熱量と洗練されたパフォーマンスによって、とんでもなくダイナミックに彼女たちが一回毎に更新されていくその姿を目にすることができる。俺はその姿こそがアイドルを見る醍醐味だと思うし、だからこそ今この瞬間を逃してはならない。

ここでは第一クールについてちょっと振り返ってみたい。第一クールのセットリストでは"Mixed by CMJK"と掲げられていたように、今回は基本的にすべての曲が繋げられており、ノンストップに近い。「かわいらしく、アッパーな初披露曲→メンバーそれぞれのユニット曲→ダンサンブルな曲」という構成は入り込みやすく良い。かわいさに引き込まれ、メンバーそれぞれの動きや表情を注視していると、それを飛び越える強烈なダンスが披露されて、演者側にも観客側にも惰性が入り交じることがない。そして彼女たちのある種の誠実さは健在だ。昔の曲のリアレンジであっても、あたかも彼女たちのために作られたかのように曲に合わせた表情を作り、しなやかに踊る。オリジナルであろうとリアレンジであろうと新しい曲を披露する度に彼女たちの魅力は更新されていくし、楽曲の魅力と彼女たちの魅力が合わさっていくのを感じる。少しずつ変容していく姿を見つめるのはアイドルファンの一般的態度だが、東京パフォーマンスドールには思い切りの良さがある。あたかも全てをさらけ出すことを恥じているかのように、彼女たちはこの時期の少女たちにありがちな戸惑いや躊躇を見せず、ライブを重ねるごとに、確実にそれぞれが想定する良きものに近づいていく。その姿こそが感動的なのだ。

『Saturday Night Fantasy』~『Airport』までの流れは東京パフォーマンスドールのライブがスロースターターという言葉からは程遠いことを示してくれる。振付も曲調もどこかキュートで彼女たちの等身大の魅力が光るものだが、同時に今から行われるライブは手加減なしに突き進むという宣言をしているかのようでもある。ソロ/ユニット曲もふんだんに用意され、個々にスポットを充てているが、ここでも先の流れを引き継ぎ、流れを止めることはない。Avec Avec編曲(多分)の『ひらき直りも芸のうち』は当時としてもこれはどうなんだ?というC調軽薄リリックをらこちゃんとうさきちゃんが時代錯誤にカバーしていてバカらしくて底が抜けた面白さがある。NJS歌謡の『In The Arm of Night』の菜七ちゃんの力強いR&B系歌唱は必聴だし、『予感』のかほちゃん、『月に吠える』の小林晏夕は1人で場を支配するような強さを感じる。それから『Catch!!』~『東京ハッカーズ・ナイトグルーヴ』という90年代初頭の空気をまとわせたダンサンブルなディスコ(ジュリアナ東京とかそういうの)ソングの数々は頭を打ち付けるかのように攻撃的だ。

第ニクールも構成は同じだが、最初の流れとユニット曲が少し違うものになっている。ただし、ここで披露された『夢を』や『千夜一夜』という初期からある曲が少し色褪せて見えたのはそれだけ今の彼女たちが歩を進めているということなのだろう。『青空のハイウェイ』や『恋して女みがいて』という遊び心の多い曲が軸になっているのが印象的だった。

4回見た今、確実に言えることがある。それは今回のダンスサミットは、今この瞬間にしか見ることの出来ない、情熱的で真摯な、それはつまり、良きものを真っ当に創りだしていこうという意志に満ちたパフォーマンスだった。去年もそうだった。一昨年もそうだったのだろうし、来年もそうなのだろう。東京パフォーマンスドールのどこが良いのか、誰かに聞かれたら「良いものを作っているから」と堂々と答えたい。少なくとも、いつからか、もう何もかもを本気でやらなくなってしまって、しかも本気でやらなくてもなんとかなっていて、その状況に浸かっているだけの自分は、彼女たちのあまりに誠実なステージに少し泣いた。