読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

8/2

キャリーケースを持ちながらこの猛暑の中でも絶対にマスクを外さない目元の鋭い少女たちと、ビビッドなカラーのTシャツを着用しタオルを首からかけた男たちが乗り合わせたこのゆりかもめという電車は一体どうなってしまうんだろう、なんていうことを考えながら俺の今年のTIFが始まった。今年のTIFなどといっても、去年は参加出来なかったので2年越しということになるのだけれど、強力で無慈悲な太陽の日差しを浴びるが如くアイドルをひたすら見まくることが出来る祭典というTIFの雰囲気はあまり変わっていなかった。とにかくこの2日でめちゃくちゃに日に焼けてしまった。3,4日して思い返しながら日記を書いてる今、水疱が出来て患部がジワジワと熱いのである。まったく重症だ。

まずリストバンドを交換しその勢いでのままスマイルガーデンでスマイレージ、リンダIII世、アイドリング x AeLL.を眺め、アプガを見る。久しぶりに見たのだけれど相変わらず良かった。暑苦しい体育会系イズムだとか「全力」を押し付けてくるだとかそういった批判はまったく意味のないことで、彼女たちについてはステージ上での動きにひたすら目をやり、流れてくるサウンドに踊るだのコールを入れるだのの自分なりの解釈を加えればそれだけで良い。『全力!Pump Up!!』『アップアップタイフーン』『サマービーム!』と彼女らの持ち曲の中ではキラーと言えるわけではないセットリストだったが(もちろん『サマービーム!』は最高)、普段より更に狂乱しているようにしか見えない佐保ちゃんが、笑顔で鍛え抜かれた身体をバスンバスン動かしていて、セットリストの不満はまったく気にならず。今日一日を全力で楽しまなければと、朝からケツを蹴っ飛ばしてくれるパフォーマンスだった。

その後違う友人と合流し、HOT STAGEへ。ミスiD2013-2015を見た。玉城ティナや蒼波純といったインターネットで見たことある人たちが登場した後、ステージ上に入りきれないほどに勢揃いしたミスiD2015のセミファイナリストたちはこれは清涼院流水の小説か何かかというくらい強烈で、わけがわからない人たちの集まりだった。小馴れた喋り方をする人もいれば寒々しいものを見せてくれる人もいる。もちろん初々しい表情の人もいるんだけど逆にそちらの方が印象に残った。それくらいにとにかくやったもん勝ちを体現するかのようにひたすら女の人が何かをやっている姿は壮観だった。ここまで来たかアイドル、でもこれは確実にある種の人々にとっては面白いものなのだ。見逃してはならないのである。大森靖子やミスiD2014のセミファイナリストたちのパフォーマンスもあった。大森靖子が書き下ろした曲だという『イミテーション・ガール』が白眉だった。大森靖子はポップなメロディメイカーとしての資質に恵まれていることを確認出来るような、まあ言ってしまえば『ミッドナイト清純異性交遊』part2的な。

HKT48はこういうアイドルフェスに48の看板を背負ったグループが出てくるということの難しさと苦闘するようなパフォーマンスだった。それは置いても、指原莉乃という人がすごい人だというのはそのセットリストのみならず所作や場の仕切り方から大いに伝わってきた。その凄さというのは自分にとってあまり興味のないものであるのだが、こういう人材が今の世の中に求められているということを我々は忘れてはならないのである。……などと吹かしながらも『言い訳Maybe』や『大声ダイヤモンド』から『メロンジュース』や『桜、みんなで食べた』まで盛り上げ方を知っているセットリストと若さそのものでしかないパフォーマンスを食らって、大いに叫び体を動かすことが出来て非常に楽しかった。なこみく、ちっちゃすぎ。ただ、その結果生まれて初めての熱射病(一歩手前)を体験してしまった。全身から力が抜けて立っていられなくなるのです、あれは。

その後女子流と夢アドのパフォーマンスを見るも、なんとなくピンと来ず。体調が良くなかったのもあるだろうけれど、HOT STAGEという場所がいけない。なんというか色気が全然ないうえに、ステージの熱もオーディエンスの熱も全然伝わってこない。コンビニへ寄って友人たちと日陰でアイスをかっ食らったことの方が印象に残っている。

スマイルガーデンでのアイドリング!!!。普段テレビでしか見ることのないアイドリング!!!の人たちを芝生の上でゆるゆると見ているとあぁ俺はTIFに来ているのだなあと感慨深くなってくる。この感慨を得るだけでもアイドリング!!!をTIFで見ることはまったく間違いではない。次に湾岸スタジオに入って涼しい環境でlyrical schoolを見ようとしたが、案の定並びがすごく簡単には入れず。そうこうしている内に機会損失をするくらいなら(これまでインターネット上でしか存在を確認できていない)paletの中野佑美が存在することを確認しようではないか、という結論になり湾岸スタジオから全速力でHOT STAGEまで向かった。アイドルを見に行くためにギャーギャー笑いながら走るという経験は、とてつもなくアホらしくて最高だった。たどり着いた先で見た中野佑美は女性的な体格とメランコリックな表情でなんだか夢の中で見たことがあるような気がした。

その後THE ポッシボーをHOT STAGEで。初めて見たが、一言で表すなら最高だった。この日がちょうど8年目の節目だということを最初に言っていたのだが、8年という月日は彼女らにとって、"まったく感じさせない"という枕詞で表現されるべきものでも、あるいはもちろん無駄なものなんかでもなく、ただ彼女らが着実に、確かに踏み越えてきた歴史に他ならないということを感じさせるものだった。パフォーマンスが安定しているだとかそういうのを超えて、ファンとオーディエンスの理想的な信頼関係の上で自由に楽しく歌って踊ること、それ自体のエネルギーが伝わってくる。こういうライブを見るとひたすらに元気が出てくるのだ。まだまだこれから面白いことが山ほどあるのだろう。

その後再び湾岸スタジオに戻り、東京パフォーマンスドールを待つ。その前にやっていたエレクトリックリボンはMacBookを動かしている風なメンバーがフックになると自らも歌う、みたいなことをやっていてファンキー加藤っぽい……などと思っているとメンバーが卒業を発表してしまっていた。名前だけ知っている初見のグループで1曲しかパフォーマンスを見ていない自分はえっ寂しいなあくらいのことしか思えないのだが、恐らく同じ空間でも前の方にいた人たちは本当にショックを受けていたことだろう……。この温度差がフェスの残酷さだと思った。

今年のTIFで絶対にすべてのステージを見ようと思っていたのが東京パフォーマンスドールで、シブゲキで1回見たきりだったのだが、記憶よりも圧倒的に良かった。30分という持ち時間をフルに使い切るということはこういうことでしかあり得ないと言わんばかりに曲間をミックスしキックで繋げることによって、生み出された熱気を削ぎ落とすことなく次の曲の勢いへとどんどんどんどん昇華させていく。彼女らの凄いところは、あまりに洗練されているせいで一見アイドル的なステージングではないのにも関わらず、きちんとコールだったりリズムに合わせて手を振り上げたりとオタク的な楽しみ方を誘発させてくれることだ。"拙さが逆に良い"といった倒錯的なものではなく真っ当に時間とお金がかけられた彼女らのステージングは、あまりに真っ当で説明可能な魅力であるため、90年代的な曲調に存在する冷たさと相まって物足りないものとも思われるかもしれないのだが、メンバー個人個人の魅力的で余裕を持った態度でそれを補っているように思えた。こういうものを見せてくれるところが売れて欲しい、心からそう思う。

その後スマイルガーデンでBELLRING少女ハートを見る。辺りはすっかり暗くなっている中、唯一煌々と照らされるステージで黒衣に身を包みながらダラダラと踊る……というかバタバタと体を動かしている姿はとても雰囲気があって良かった。最高のものを見た後に最低のもの(褒め言葉)を見せられたような心地だった。

アイドリング!!!をSKY STAGEで見るため待機列に並びエレベーターに乗る。2日間でSKY STAGEに登ったのは結局この時だけだったのだが、とても心に残っている。アイドリング!!!を待ちながら友人とコンクリートに寝転がりながら駄話を繰り広げていると流れ星が流れてきた。東京という街は明るすぎて星が見えない。が流れ星は見える。多分アイドルもそうなのだろう、TIFという空間は明るすぎるがしかしアイドル1人1人が流れ星なのだ。そのことを我々は忘れてはならないのである。2年前も夜のSKY STAGEで見た(それも最高だった)記憶があるアイドリング!!!だったがやはりロケーションといい、曲の良さといい、ゆるっとした雰囲気といい、すべてが1日目のラストを飾るに相応しいアクトだったと思う。満たされた気分を胸に、エレベーターで地上に降りた。

終了後、一旦家に帰った後、代々木の銭湯へ行き、その日一日中行動を共にしていた友人の家へ泊まった。ところで銭湯に入った後コーヒー牛乳を飲んだのだが、最高だった。今までの人生で一番美味しく感じられた。多分アイドルも疲れきった後に入った銭湯の後に飲むコーヒー牛乳のようなものなのだろう。そのことを我々は決して忘れてはならないのである。

2日目も多分性懲りもなく書きます。