7/30~8/5

映画と音楽

 フジロック配信の影響でDirty ProjectorsとかVampire Weekendを聞いていた。僕の一番好きなVWの曲は"Diane Young"です。DPの新譜はまた開けた感じで素晴らしかった。その流れかなんなのかはわからないけど最近はクラウトロックをよく聞いている。というか主にCanなのですが。オレはマルコム・ムーニー時代が一番スキです。

 この週は早稲田松竹ペドロ・コスタ監督の小さな特集を行っていたので観に行った。『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』『何も変えてはならない』の4本。どれも部屋の中で被写体の会話や所作を長回しで撮っているんだが、ドキュメンタリックだとか対象に寄り添うとかそういうわけでもなく、ただ画面の中に人がいるだけであるのだが、忘れられない強度を持ったショットが続く。物語なんて当然なく、撮られたショットがゴツゴツと無造作に並べられているのだが一つひとつが強烈に印象に残る。その手触りが無骨でハードコア。光と影の奇妙な混じり合いが不思議と審美的な画面を作っているのだが、ただ単に絵画的なそれなんかではまったくなく、方法論を突き詰めてしか生じ得ない孤立した美しさというか……。などと思ったことをつらつら並べていても映画を語ったことにはならないでしょう。個人的にはハードコアな金字塔『コロッサル・ユース』とストローブ=ユイレの夫婦漫才のような掛け合いが泣ける『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』が大好きです。『ホース・マネー』はもちろん、『ヴァンダの部屋』以前のスタイルでの傑作(と言われている)『骨』とかも見てみたいところ。

オタク

オタクとしては水曜日(平日である)に横浜アリーナで行われた『AKB48グループ感謝祭~ランクインコンサート~』を観に行った。期待はしていなかったのでノー・ダメージではあるが、これは本当に……筆舌に尽くしがたいほどの最低のライブだった。ステージから遠くなれば遠くなるほど何も感じなくなる射程の狭い演出と、流れなど存在しないかのようにぶつ切りでランクインメンバーに曲を披露させていくライブに何を感じればいいのだろうか。アリーナとかにはメンバーがちょくちょく来てくれるためそこそこ楽しそうだったが、ステージも遠くメンバーも来るわけではない、いわゆる天空席は本当に辛かった。たくさんツイッターした。しかし神奈川出身の小田えりなさんが子どもの頃から憧れていた夢の舞台に立っているんだ……と思うと最低!と断じることは本当に難しい。むしろ推しメンへの感情移入という側面で言えば、感動した。良かったな……って思うし、撮影可能時間では近くに来てくれたし……。それでも今までたくさんのライブを見てきて、全身が奮い立つようなパフォーマンスや、明らかに人の心を打つ音楽に心を動かされ続けた人間として、各人の推しメンへの感情の距離だけで成立させようとするかのような怠惰な演出を認めるわけには……。そう、オレはとても困難なところで戦っているのである。これを誰かにわかってほしいとは言わない。ただ、オレは自分が好きだというものに自信を持っていたいだけなんです。その後、オタクと飲んで握手の話とかをして解散した。

TIF

性懲りも無くTIFへ行ってきた。8時に起きて、30分くらいで支度をして家を出た。インターネットを見ているとダイバーシティの並びが凄いみたいな情報を何個か目にしたので、仲間との集合時間より40分ほど早く着いて1人でリストバンドを交換し、ダイバーシティの入場列に並んだ。暑い……のはわかっていたが、眩しいのも地味に削られる。iPhoneも見えにくい。だが仕方がない、全てはAKB48チーム8を見たいがためである。本当に見たいのか?それはわからない。見たいから並ぶのではなく、並ぶという行為が先にあるような気がする瞬間を何度も迎えつつ、1時間くらい並んで入場。入ってしまえばあとは流れである。

最初はNMB48だった。何年ぶりに見たのか……とはいえ、今回はカトレア組(知ってる人は少ないと思うので、各自検索してください)という若手集団らしい。ほう……と思いながら、基本的には前に行ける機会を伺いながら見た。とはいえ、『ナギイチ』『北川謙二』『青春のラップタイム』辺りはかなり上がった。パワフルだしみんなフレッシュだしで悪くない上に明らかに上西怜ちゃんと山本彩加ちゃんは目を引いていたのだがしかし、カトレア組はオレがこの世で唯一本当に苦手なアイドルを輩出していると聞いたので意識が低下した。

その後知らないアイドル(集団ゴリ押し系でした)を挟んで、キラキラ除いた3列目くらいでチーム8のライブを見る。特にアツい流れがあるわけでもなく、30分定番セットリストだけのまあよくある48外イベって感じなのだが、ノリながら見れればそれでOKなタイプの人間なので、オルスタで好きな曲と好きなメンバーを見ながら踊って騒いでってだけで十二分に楽しかった。『制服の羽根』『夢へのルート』を見ると涙をこらえて笑いながら踊ってしまうのである。48で推しメンの位置を予想してアレやコレややるやつも、やって何があるんだよって感じなんだけどやってしまった。

出て仲間たちと合流してヤなことそっとミュートを見る。去年の年末のバンドセット・ワンマン以来だろうか?あんまりチェックしてないけど、久しぶりに見てもとてもよかった。アイドルとしても個人的に求めるものがあるし、サウンドもやりすぎない感じが好感が持てる。横道にそれますが(静岡)、なんかさも僕たちこんな音楽知っててやってるんですよ~みたいなニュアンスはアイドルソングに不要でもないんだけど、そういうのはもはやエッジーでもなんでもないと思う。音楽性が高いとかパンクとかアイドルでやっても、じゃあそれを持て囃す人たちはちゃんとアイドル以外の音楽を聞いているんですか、ということが気になってしまう。ちゃんと音楽を聞きましょう。そういうわけで、オレは何の美しさも押し付けも存在しない48グループを愛するのである。中身が本当に空っぽだからこそ勝手に楽しめるからだ。

飯を食い、AKB48フレッシュ選抜を見た。これは……いい。AKBは終わってないというか、終わっている中でもまだ終わってない部分があって、それにこそ面白さがあるじゃないですか。『ヴァンダの部屋』でも崩壊してゆくスラム街の中で確かに存在する生のうごめき的なのがありましたからねえ……。セットリストも『チームFRESH推し』とか良かったし、まあ『会いたかった』とか『恋するフォーチュンクッキー』はそれやってどうなるんだ?って思うけど野外で見るのが楽しかった。さとちゃんのオタクになりたいし、山内瑞葵ちゃんは素質があると思うし、16期とD3のストーリーにも遅ればせながら立ち会いたい。そんな暗闇の中に光が差し込むような気持ちになった。

その後もぼんやりしながら友人たちとダベりまくった挙げ句、急遽TPDを見ることとした。本当に久しぶりに(すいません)見たんだけど随分印象が変わっていた。6人になってたのは正直寂しいけど、みんな顔立ちが大人びてマブくなってたし、パフォーマンスの色合いも様々なニュアンスが混じり合っていてよかった。WWW Xで何やら新ライブシリーズもやるようなのでアレがアレなら行ってみたいなって思います。流れでオタクと合流してアイカレを。前説的な曲が不穏なギャングスタ・ラップみたいな雰囲気を出していて死ぬほど笑った。その後またフレッシュ選抜を見てやっぱいいですね~という思いを胸に一旦出た。同じDoll Factoryでリリスクとtiptoe.を見て終わらせようということになったので、早めに入るとそこではアイドルが腕相撲をやっていた。なんというかまったく面白いわけではないんだけど、つまらないわけでもなく、普通に盛り上がってしまう微妙なコーナーはTIFから無くならないでほしいと思った。リリスクはminanちゃんがめっちゃくちゃに美人感出てたしボス的な感じでカッコ良かったし、tiptoe.も曲がよかった。

終わって仲間たちと合流して大江戸温泉物語へ。集金システムがしっかりしてるフジテレビが作った銭湯って感じだった。しかしサウナは広いし、水風呂は20度超えだがまあ広いし何より露天が広くて気持ち良い。TIFの締めにだけ存在しているような良さがあった。2018年のTIFは全体的に無理なく楽しかったです。オリンピックの影響(FUCK東京五輪ってオレは思ってますが)でどうなるかわからないけど来年もまあ惰性で行くのだろうか……だからまあずっとやってていつまで続くんだ?って思うんすよね。まあそんな感じです。