5/10~5/16

 日記を書くのがだいぶ遅れている。そもそもオレがこういう形で日記を付けようと思ったのはオレの人生が楽しすぎるために(いつか見返したくなる時のために)記録を付けておきたいから……という理由なのだが、あまりに楽しくも忙しい毎日を迎えるとそもそもその記録を付けるのも難しくなってくる。思い出しながら書いていこう。

 まず、5月の2週目。静岡~名古屋周辺を責めたい、ということで2日間の予定を組んだ。初日にサウナーの聖地「サウナしきじ」へ行き、2日目に森・道・市場(というフェスがある)に行く。考えてみるとオレたちが動くのはいつも自分のためだけで、それは具体的には、楽しいイベントがあるとか気持ち良いことができるとか、まあそういうことのためだけに生きているのかもしれない。2PACじゃないけど、Thugz Lifeって感じだ。

 昼頃に新幹線に乗って静岡駅へ着く。名古屋はあんなにも遠く感じるのに静岡は意外と近いもので、あっという間だった。そのまま静岡でもっとも有名なハンバーグ・チェーン店のさわやかへ行く。無計画に駅弁を食ってしまったオレ達に、げんこつハンバーグ250gはキツかったが、それはともかく、いつ食べてもおいしいものだった。前に浜松に来た時、タクシーの運転手さんが「さわやかは新鮮な牛肉を使う必要があるから工場から遠い静岡県外には店を作れない」と言っていたが、それも確かに納得出来る。ガワは焼けているのだが中はヤワい、オリジナルな味。しかも安い。素晴らしいことだ。地元ヨコハマのハングリータイガー、栃木で食べさせてもらったフライングガーデンなどと共に忘れがたいハンバーグ・チェーンだ。

 そしてタクシーで10分ほど揺られ、サウナしきじへ。しきじは一見普通の健康ランドのようだ。館内着を渡されいそいそと浴場へ向かう。ドドドドドドド……と水風呂が滝のように循環している……。サウナーとしてまだまだ初心者だが、それなりの場数も踏んできたオレはこれはヤベえぞ、と思ったが実際ヤバかった。天然地下水を使った水風呂と高めの温度でセッティングされたサウナにととのうためのベンチスペース、シンプルだがこれでいい、これがいいと一端の口を叩きたくなるもの。素晴らしい。チリバツに整ったあとはただひたすらチルアウトである。上階にはリクライニングシートが並んでいる他人の家みたいなスペースがある。スパの休憩エリアといえば漫画だが、しきじのチョイスはかなりオールドスクールだった。寝転びながらひたすら、手塚治虫のクラシック『火の鳥』を読むのであった。腹が減ったのでビビンバを食べ、友人と道中で買ったMTGなどをしたり何やら話したり。なんだかんだで0時になると、おっさんに混じりながら泥のように寝た。

 翌朝6時起きで向かったのは森・道・市場である。ひたすら暑くて辛かった。見たのは柴田聡子inFire→蓮沼執太フィル→オウガ→C.O.S.A x Kid Fresino→般若 とその他もちょいちょいと。蓮沼執太フィルは環ROYのラップを久しぶりに聞けてよかった。一緒に観た友人は「(昔に比べて)フロウが粘ついてる」と評していたが、オレはそこにメロウネスを感じていたりもして、結構好きなのである。全体としてもとても良かったので、ワンマンにも行きたくなった(が、調べてみるとサマソニ2日目と被っていた……)。それと余計なお世話だと思うが個人のギャラがどうなっているのかが気になった。ベストはコサシノかもしれない。2人の息はガッチリ噛み合ってて手慣れた感じすらあるし、互いのソロも"Easy Breezy""Coincidence""知立Babylon Child"等名曲がサクッと披露されて文句なし。フレシノのワンマン・チケットも勢いで買ってしまった。般若も気合が入ったエンターテイナーといった感じで良かった。ヒップホップというのは生き様、みたいなことを誰しもが言うが、優れたMCというのは往々にして魅力的な人間性を持っているなと感じた。具体的にはユーモアだったり視座だったりなんだけど、優れたライブを観ると誰もがそのMCのことをいいなと思って帰っていくところがヒップホップの良いところなのかもしれない。テキトウです。

 帰ろうと思ったら人身事故があったらしく帰りの電車は本当に地獄のようだったが(しかしここでキレてはいけない)、なんとか友人の家に泊まらせてもらい、クソみたいな話で盛り上がって寝た。森・道・市場はそれなりにイイフェスだったと思う。快適すぎてフェス感がなかったけど。

 翌朝も6時に起きて、一路パシフィコ横浜に向かった。オレはもう限界なんだ、という思いを胸に早朝から写真会。朝は長久玲奈さんと山田杏華ちゃんと撮った。長ちゃんは相変わらずかわいいにステータスを全振りしたような感じで、そこが良いと思う。余計な感情はいらない、ただそこにあるカワイさのみを愛する。それがオレの長ちゃんとの接し方であり、それは正しいことだと思っている。色々なオタクがいるし、色々なスタイルがあって、オタク個人の中でも色々なアイドルには色々な接し方がある。考えてみれば当たり前のことだ。あと、杏華ちゃんは長ちゃんみたいな感じなのかなと思ってたが、意外と女の子女の子してるというか感情があっておもしろかった。今の時代、在宅も一つの選択だが現場へ行かないとわからないこともあるのである。中でもアイドルの人間性に思いを馳せながら握手を自分のものにしていく……『現場』の醍醐味だ。あと山田杏華ちゃんとはチェキが当たったのでありがたく撮らせてもらった。あまり慣れてなかったみたいで1分間くらい話せてしまったのだが、将来の夢はモデルで今年はそういう仕事をやれるよう頑張りたいとのことだった。オレたちくらいになるともはや夢とかそういうのはなく、日常の延長の中でどれだけぶっ飛ばせるか、ってとこが頑張りどころなのだが、杏華ちゃんには夢へのルートを頑張ってほしい。オレらはそれを見て、応援することそれ自体を楽しむから。

 パシフィコ横浜を中抜けし、お台場に人間交差点を見に行く。生憎のキツすぎる雨のせいで真面目に見れたのはBAD HOPとPUNPEEのみ。しかし、良かった。BAD HOPは本当に若い世代に人気なのがわかるパワーが詰まってて、見てて眩しかった。ノリ方も最近のラップって感じでみんなでフックを大合唱したくなる。PUNPEEはさすがの完成度。”リスペクト”のビートジャックをしたりMETEORと”Play My Music”とか”4800日後…”をキックしていた。個人的にも色々思うところがあり、印象的だったがここで深くは語らないことにしたい。キックとライムスターを見ずにまた横浜へ逆戻り。勘弁してくれ。しかし小田えりなさんと写真を撮ると辛い気持ちはなくなる。これが推しメンの力というやつである。そして推し増し券(というものがあるのです)を使い、山田菜々美くんと太田奈緒さんと撮る。2人(特に奈緒)のことが大好きになって終わる。はっきり言わせてもらうとキリがない。全員好きになるからだ。だが感情が動かされることといえばもはや、このくらいなのだ。だからもう少し突っ走ろうと思う。そんな思いを胸にオタクと飲んで一日を終えた。

 平日は基本特に感情なく音楽を聞いたりジムに行ったりしているのだが、珍しく映画。早稲田松竹のレイトショーでジェームズ・グレイ『ロスト・シティZ』を観た。冒険映画かと思いきや、冒険に囚われた男と血で繋がったその家族についての映画であった。まあジェームズ・グレイですからねえ、などと利いた風な口をきく。しかし『インディ・ジョーンズ』を希釈して『地獄の黙示録』と『グリーン・インフェルノ』をブチ込んだような"川を下る男の妄執"映画でありながら、ダリウス・コンジのオレンジがかった光の捉え方のせいなのか、見ていてひたすら気持ち良いのがスゴい。妄執系の話なのに音楽も画面も重厚で伝記映画みたいなルックがあるのがおもしろい。初っ端の躍動感溢れる鹿狩りからの大きな時間的隔たりを経て、2度目の狩りでのロングショットに泣きましょう。そしてそこから探検へ向かうまでのシークエンスの連なりは筆舌に尽くしがたいものがあった。