8/18~9/14

 前回の続き。ソニックマニアに行ってきた。もはや大分昔のことのようにも思えてきた……。それはともかく以下見たアクト

Jameszoo→Dorian Concept→Nine Inch NailsMy Bloody Valentine電気グルーヴ

 Jameszoo~Dorian Conceptの流れから最高。Jameszooの笑ってしまうくらいフリーキーでビートレスな立ち上がりから、後半にかけて痙攣系ビートで叩きのめされるインテリジェンスな爽快さ。Dorian Conceptのあっちへ行ったりこっちへ行ったりの分裂症気質なノリも面白かった。それでいてどちらもしっかり踊れるところがまた良い。

 最初はクリントン御大を見る予定だったのだが09年サマソニで観れなかったことを大学時代に悔やんでいた記憶がフラッシュバックし、NINへ。サブスクでガンガン新譜を聞くことに忙殺される毎日(それはそれで非常に楽しいからやめられないのだが……)であるため、フェスくらいはキッズに戻ってしまってもいいだろうと。NINは曲もほとんど忘れていたがしっかり見届けられた。イメージ通りのマッチョで凶暴なインダストリアル・ロック、文句なし。それとスクリーンに映し出される映像がめちゃくちゃ渋かった。普通のそういうのって何台かのカメラの映像をカットで割りながら撮ってくものだと思うんですが、NINのそれはステージ上の一台のみの長回しかつモノクロに処理されていてかなり見応えがあるものだった。その後は仲間とぼんやり屋外に出て微妙に湿ったまだ夏が終わってはないけど若干終わりつつある気候の下、フェス飯というには悲惨すぎる食事を取る。常にそうだが、フェスはこういう瞬間が一番楽しいと思う。

 適当なタイミングでマイブラへ。デカすぎる轟音というのと耳栓を持ってきてなかった(配布される耳栓はとっくに切れていた)のでモチベーションも低く、中盤から入ったのだが正直言ってぶっ飛ばされた。それは本当に音がデカいからだ。サブウーファーが死ぬほど積み込まれたベース・ミュージック系のクラブイベントや、アンプが大量に積み込まれたドゥームメタルのバンドのライブ等で重低音が強調されたサウンドに接して、骨まで揺れるような音を聞く機会は何度かあった。しかし単純に出音が大きいというレベルで言うと初めてに近い音のデカさで、衝撃を受けた。前の方に行くと耳が吹っ飛ばされると判断し、やや後ろの方で。バッタバッタと人が倒れたり退場していくのを目の当たりにしながらただ音を聞く。もはや何の曲かも判然としなくなるような音のデカさが気持ちよさに代わる瞬間にはなかなか感動した。"Soon"で飛びかけた意識は、ラストの"You Made Me Realise"でのあり得ないくらいデカいノイズで完全に吹っ飛ばされて、呆然としたまま終わった。その後Ross from Friendsを見たかったがなんとなく大箱テクノで終わりたかったので電気を選んだがぼんやりと集中できず、途中退出。電車で帰って倒れるように寝た。

 翌日はすみだトリフォニーホールへ蓮沼執太フルフォニーのライブを。ガッチリ寝れたのと天気が良かったのもあり、いいバイブスで錦糸町へ。早めに着いたため、ちょうどやっていたすみだジャズフェスティバルの音を聞きながら、アジアカレーハウスでマトンビリヤニを食べた。かなりディープな食堂みたいな内装だったが味は文句なしでよかった。バングラデシュ料理はなんとなく優しい感じがしますね。おかわりもいいぞと言わんばかりに注いでくれたのもよかった。ライブは26人編成ということで複層的な音の重なりが面白く、また気持ちよかった。複層的と言えど最新のceroみたいにリズムがポリリズミックに重なるとはまた違う趣きで、音色と音色の重なる瞬間に耳を澄まして集中する感じで、これはこれでかなり新鮮だった。ギターがノイジーな音を鳴らしその上で環ROYがラップする展開とかかなり上がった。ライブ終了後、21時までに入ると1500円らしいという情報をゲットしていたので新橋のアスティルへ向かう。オレにとってはマイクと紙とペンではなく、サウナと水風呂と休憩スペースが三種の神器である。過不足ない設定のもので、3セットほどでばっちり整い、泥のように眠る。

 翌日はまた幕張へサマソニへ。幕張には慣れているので問題ないです。以下見たアクト。Knox Fortune→PassCode→Petit Biscuit→Zion T→Higher Brothers→Jorja Smith→Chance The Rapper といった感じ。

 割と早めに起き、Knox Fortuneを見ようとすると既に人だかりが。そんな人気なのか……と思うとどうやらENDLICHERIさんのオタクのようで。それはそれは、同業者の方ではないですかという気持ちになりつつ、やりにくくもなりつつ。オタクの皆さんはきちんとしているので、ノってくれようとするのだが山下達郎のライブのような手拍子ノリだったのでキツかった。Knox Fortuneはセンスがひたすら優れているインディー大学生みたいな感じで◎、1フレーズほど"All Night"をやってくれたのにもアガった。

 その後虚無の時間を過ごし、コンクリートの中に詰め込まれているのにも疲れたのでZion Tを見に行った。Zion Tのことはあまり知らなかった……。しかしこの曲は好きだった。


[MV] Zion.T(자이언티) _ No Make Up(노메이크업)

glitsmotelの曲でほとんどまんま使いされてるので知ったのだが、K-POPがこれほどネオソウル調なものだとは恥ずかしながら知らなかったのでかなり衝撃を受けた……。で、ライブ自体もとても良かった。1DJで抑えめな挙動だが、とにかくしっかり歌うし何より楽曲の強度が半端じゃない。これはバンドセットとかでも見たかったー。あとZion Tの一挙手一投足に若い女性たちがキャーキャー言ってるのも微笑ましくて良かった。ノリが若々しいんだよね。このライブがきっかけでサブスクで韓国のR&Bやヒップホップを色々聞いているのだがどれも質が高くて驚いている。Jay Parkすら知らなかったので(恥ずかしい)なんか鉱脈を掘り当てた気分。まあヒップホップというか、アーバンミュージックという感じだが。プデュの影響もあり、韓国産のヤバさにヤラれる毎日である。

 Higher Brothersもそれぞれのキャラ立ちに感動しながらJorja Smithを見るためにそそくさと離脱。88risingのショウケースにはイキタイ所存……。Jorja Smithは歌がめちゃくちゃ上手く、基礎体力の高さと折衷主義的センスにノーザンソウルっぽいものを感じた。最後もDisclosureみたいなガラージで締めてたのが意外ながらもUK魂を感じてよかった。

 さてChance The Rapperである。結論から言うと、本当の本当に最高だった。10年くらい前に同じ場所で見たATCQフジロックで見たLCD Soundsystem、あるいはD'angeloとかを生涯ベストライブとして常々言っているのですが、また更新されてしまった。モッシュと合唱に巻き込まれ揉みくちゃになりながら聞こえてくる聖と俗のマッシュアップはやはりこの音楽が70年代の極めて進歩的なソウルミュージックに匹敵するものだと実感するには余りある強力な音楽だった……が、本当に素晴らしすぎたものについてはあまり語れないものである。

 その後ジョージクリントン御大を見ようとするもチャンスが良すぎて特に集中出来る気がしなかったので早めに切り上げ、巨大銭湯に行き、終わった。思い返してもすごい3日間でございました。翌週もオタク→巨大銭湯で朝まで大変だった。9月前半はネパールの準備したりゴトシのなんやかんやに追われていたので特に書くことはなく、次はネパール旅行記的なのを書きたいです。