近日に思ったこと

 日記とは別口で最近考えたことを適当に。

 最近服に興味が出てきて、よく調べている……。若者の時に特に興味がなく、BEAMSとかそういうセレクトショップで適当に買って終わらせていたので、自分でもびっくりしている。握手会に着ていく服を買ってるうちにだんだん好きになってきた。もちろん自分に特にセンスがあるというわけではなく(だから好きになれなかったというのもあるかもしれない)、ハイセンスな店に入るだけでウワッ俺浮いてるな……などとめちゃくちゃ汗をかく毎日である……。個人的な方向性としてはトレンドとかハイセンスとかにはあまり興味がなく、日々の普段着を上質なものにしていきたいという思いが強い。気に入った服に袖を通すと気分が上がるし、何やら自信も持てるもので、更に言うと(歳がどうこうっていうのはあんまり言いたくないけど)この年齢になって新たに興味が沸くことが出てきて、熱中とまではいかないが色々自分から動きたくなれていること自体が嬉しい……。

K

 音楽や文化に優劣など無いと言えれば楽なのだろうが、実際にはそれは確実にあって、優れた音楽が好きな人間はセンスがいいし、劣った音楽が好きな人間はセンスがないとされる。AKBの何枚目かのシングル『NO WAY MAN』とIZONEのミニアルバムのティーザーが同時期に公開されたのを見比べて強く思った。

 もはやアイドルシーン全体を見渡しても音楽性は様々で楽曲の強度も高い水準のグループがポンポンといて、そのこと自体は喜ばしいことであると思うのだが、個人的にはそういうアイドルにあまり興味が無くなってしまった。別にアイドルでその成分を補給する必要がない……というより優れた音楽をアイドルが歌うことの面白さというのはもはやあまり感じられなくなったという方が正しい。今ハマっているのはそういった音楽的な正当性が一切ない音楽をそのまま、好きになることだ。オレは『へなちょこサポート』を聞くと気分が舞い上がってくる。理由は深くは言及しないが(わかる奴にはわかるんだ、こういうのは)そういったオートクチュール的な、自分と小さい範囲だけで成立し完結する音楽の楽しみ方をアイドルに求めている。大量生産大量消費の中でそれをやることが面白いと思える……。

 というのは前置きで、AKBとIZ*ONEである。そういうわけなので『NO WAY MAN』は2018年に聞くに堪えない音楽性の曲であるが、しかしだからといって優れていないかどうかはわからない。アイドルを聞くのに音楽は関係あるが関係ない。それだけではまずいが、自分はAKB以外の音楽もたくさん聞いているので問題がない(と自分に言い聞かせている)。……ということをわかっていてもなお、やはりIZ*ONEの上質なプロダクションと映像センスが融合したなにかこう、新しいものを見ている感覚というのは素晴らしく、嫉妬してしまう。

 ……実はここまではティーザー映像を見た段階での感想なのだが、MV本編とショウケースコンサートを見たら比べるのがおこがましいという気分になりました。俺は美意識がふんだんに盛り込まれた画面とトラックショットが大好きだ。出だし、ウォニョン→ミンジュの流れから最高。スムースなダンスを正面から捉えたショットと早いテンポで交差するソロのカット、その全てが洗練されていて魅力的だ。本田ひぃちゃんのキャンディな歌もこれほどまで上手く入れ込んでくるかーって感じだし、イェナのラップパートはこの曲で俺が一番ぶち上がった部分。まさにALL EYEZ ON ME、まるで2パックである。スーツケースに入ってるイェナかわいい……。端正なラップに被せられる怖い男のスクリュー声パンチインもかっけえ。そしてナコヤブキのジョーカー感、東映映画で主要キャスト紹介が終わって最後に出てくる重要キャラ感(『沖縄やくざ戦争』の千葉真一、『博徒外人部隊』の安藤昇なんかを思い出してくれ)も最高に誇らしいではないですか。全体的にUSトレンド(BTSも取り入れてた)のラテンフレイヴァーが心地良く、EDMみたいに射精しますよ!しますよ~~~~!みたいな展開じゃなくて微温のまま進んでいく感じもまた新鮮。3連符ノリもガンガン出てくるし超今っぽい……。

 いやー正気ではいられない。カルチャーというのはどんなに大きい産業になってもそれが良いと思って金を出す消費者に支えられていて、受け手である彼らがどのようなことを考え、どのようなことを重要視するかによって大きく変わっていくものだと思う(それはアメリカの映画や音楽、ドラマを見ていれば誰でもわかる)。翻って見ると俺が好きなAKBというのは一体何なのか……かわいい女の子の美しい姿を見たいという欲求とそれへの回答としての作品であることは変わらない(だから込められてる感情とか意識は同じくらいしょうもないとも思う)はずなのにアウトプットがなぜここまで違うのか。などと絶望してみるのは容易いが、問題は俺が『NO WAY MAN』の劇場盤を性懲りもなく買い続けていることにある……。いや、さすがに枚数を減らしてその分はIZ*ONEのEPをフィジカルで買ったけど……。なんのエクスキューズにもならないのはわかってます。それにしてもこれ見て欅坂とかをまだ反抗のモチーフとかそういう視点で好きでいられるのか?日本の若者たちは……。俺はそれが怖いよ……と突然坂道(というより坂道に金を出されてデカい声で騒ぐ企業とそれに乗っかる人たち)叩きを展開して終わります。