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生駒ちゃんなあ……玲奈ちゃんなあ……。

新しき世界

シネマート新宿で鑑賞。刑事がヤクザ組織に潜入しているというプロットに『インファナル・アフェア』や『イースタン・プロミス』を連想しつつも、むしろ『ゴッドファーザー』のようなアウトローたちの血の繋がりだけが生むクールで重厚な格調高さと韓国映画らしいパワフルで野蛮な登場人物たちのエネルギーが混在した魅力的な作品だった。

まずオープニングシーンでのセメントを口から流し込むという殺し方が最高なんだけど、それを置いても恐ろしいのは切り返しとクローズアップの多用による顔、顔、顔……。どいつもこいつも年輪が刻み込まれた悪党らしい汚い顔付きが似合ってること。刑事と刑事の上司、潜入先のヤクザという3つの視点が錯綜することによって作り上げられた重厚なサスペンスの巧妙さもこいつらの顔によって説得力が断然増してくる、怖い。

ただ恐ろしいことは恐ろしいのだけれど、冷酷なヤクザの論理というよくわからないパワーゲームによって暴力が自然と連鎖していく過程そのものが恐ろしい『アウトレイジ』よりも、暴力と情がウェットにならない程度に絡みあう辺り(そして爆発した時の肉弾戦)が強調されている今作を見ていると自然と日本における70年代ヤクザ映画を思い出してしまうわけで、好きにならずにいられないどこかチャーミングな魅力がある。主人公に重大な決意を生じせしめるシーンや、最後の最後とか完全にホモで最高。

それにしても『悪いやつら』といい、韓国のヤクザ世界では殴り込みが基本的に金属バットというのはお約束なんだろうか……。『ドラッグ・ウォー 毒戦』を見た時にラストとの対比から銃撃戦もコミュニケーションなんだなと思ったけど、ナイフと鈍器によるそれは更に濃厚なコミュニケーションだ。

ユニオン備忘録

・Big Youth / Natty Universal Dread

これは最高。70年代ソウルがアメリカ南部からジャマイカへ南下することで、ソウルフルでメロディアスなテーマを変奏しゲットーからバビロンを告発する者、すなわちレゲエDJが現れた。彼らが作り出した技法やメッセージが今度は逆に北上することによって後にブロンクスにおいて花開くヒップホップ・カルチャーに影響を与えたというのは歴史が知るところだが、これは多くのレゲエDJの中でも最もおおらかでそのスタイルが尊敬されたDJの一人であろうBig Youthの73年から79年に発表された音源をまとめた3枚組である。昔から聞きたかった。こうしてまとめて聞くとギャングスタ、ひょうきん者、聖者がごちゃ混ぜになっているかのような彼の表現の多彩さに驚かされる。