2015年間ベスト

今年は全然音楽聞けませんでした!映画も新作の10倍くらい旧作ばっか見てたので歯応えのない年間ベストになってすいません。

年間ベストアルバム

  1. Kendrick Lamar / To Pimp a Butterfly
  2. Soichi Terada / Sounds from The Far East
  3. KOHH / DIRT
  4. Kamasi Washington / The Epic
  5. Jamie XX / In Colour
  6. cero / Obscure Ride
  7. Gonno / Remember The Life is Beautiful
  8. Jim O'rourke / Simple Songs
  9. Tuxedo / Tuxedo
  10. 東京パフォーマンスドール東京パフォーマンスドールZEPP TOUR 2015春~DANCE SUMMIT“1×0(ワンバイゼロ)”ver3.0~

以下感想を短く。①どこまでも誠実な歴史と音の探求の成果。アメリカ史(のようなもの)と個人史が交配しながら猥雑なものへと変容していく姿がとてつもなく美しい。これを年間ベストの1位に置くことに若干の気恥ずかしさを覚えつつ、そうした自意識を乗り越えるような大傑作であることを確信している。

②オプティミスティックでハッピーな、爽快で美しいディープ・ハウス。ハウスのクリシェを用いつつも、彼の基質が反映しているのか極めて作家性の高いものへと仕上げている。

③『YELLOW TAPE 3』とセットで。ヒップホップの面白さが横溢しているのは、KOHHが強奪による錬金術というこのジャンルにおけるきわめてオーソドックスな手法を用いているから。

④往年の「スピリチュアル・ジャズ」より理屈的で、野蛮というよりインテレクチュアル。ただしカマシは野生を放棄しているのではなく、客観視しながら統制しており、だからこそこの3枚組のアルバムには興奮と持続が融合している。ライブも素晴らしかった。

⑤今年は多分クラブに行き夜を明かすということをしなかった……。のもあってか、例年よりクラブ・ミュージックを熱心に聞くことは少なかった。だからこそ、なのか今年はこの静謐で瑞々しい「ハウス」に熱中した。端正な仕上がりだがつまらないわけではなく、ここにはソウルの息遣いがある。"All Under One Roof Raving"を聞こう。

⑥ブラック・ミュージックの"Replica"を標榜しているが、単なる模造品ではなく、様々な音楽の断片が散りばめられており、またそのどれでもないというまさに"Eclectic"なアルバム。マジック・リアリズム的手法で世界を立ち上げていく様も見事。

⑦バレアリックでエレガント。ダンス・ミュージックというよりも更に瞑想的で、ドラムレスの曲の美しさときたら……。②と併せてどんなシーンでもよく聞いていて、毎日を彩ってくれるアルバムだった。

⑧チェンバー・ロックとプログレッシブ・ロックが大きな参照元としてあるとしても、どう調理すればこうなるのだろう。コンパクトに仕上げている点にも驚嘆。切っても切っても別の切り口が出てくる、魔法のようなアルバム。"Eureka"より好きかも。

⑨昨今のムードの一つの決定版。カッコいい。

⑩凄まじい熱気と集中力に満ちたライブの記録。音源が今一つ弱かったこのグループの魅力を知るにはもってこいのアルバムでもある。

 

年間ベスト映画

  1. マッドマックス 怒りのデスロード
  2. ハッピーアワー
  3. インヒアレント・ヴァイス
  4. ラン・オールナイト
  5. ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション
  6. 海街diary
  7. ワイルド・スピード スカイミッション
  8. THE COCKPIT
  9. ブラックハット
  10. スター・ウォーズ エピソードⅦ フォースの覚醒

①誰が見てもどこから切っても面白いのは周到に作り込まれた映画世界を、ただ切り詰められたアクションによる語りでのみ、展開しているからだ。映画史に残るべき傑作にリアルタイムで立ち会えた興奮と共に、今年一番心に残った作品だ。というか単純に、こんな面白い映画他にある?

②物語の中心に据えられている女性4人の描き方は確かにラディカルで目を見張るものであるのだが、ここではむしろそうした性差を超えて孤独に彷徨える魂に肉薄しようとする。様々な映画的記憶が呼び起こされる作品だが、中でも最良のカサヴェテスに匹敵するかの如き被写体への寄り添い方は忘れがたい

③2時間超に渡ってダラダラとゆるく進行していく繋ぎはサイケでドラッギーだが、目を見張るべきショットは多くある。また、クローズアップの多用と長回しが画面に緊張感をもたらしている。カンの"ビタミンC"と長回しのタイトルバックはめちゃくちゃ格好いいし、ニール・ヤングの歌が響く中2人の男女が雨を走り抜くシーンは今年一番愛おしい場面だった。

④この監督と俳優のタッグによる前作『フライト・ゲーム』はあからさまなジャンル映画のノリが荒唐無稽で最高だったのだけれど、今作はシンプルな逃走劇。これまたリーアム・ニーソンが本当に素晴らしく、夜のニューヨークと殺し屋たちの闘い描写はたまらないものがあった。リーアム・ニーソンが素晴らしいといえば『誘拐の掟』も。

トム・クルーズトム・クルーズであることの凄さ。骨太なアクションも素晴らしい。

⑥最後のショットが特に良かった。

⑦車を空から落として空から襲撃しよう!!!という小学生レベルの発想筆頭に、年々迫力と荒唐無稽さを増していくCG多用の大味アクションだけでも満足なのだが、今回に関しては想いの映画でもあった。拭いがたい現実がどこまでも荒唐無稽であるべきフィクションを侵食していく姿に不快感がないのは、それが真摯な愛から成るものだから、と言い切りたい。

⑧映画が作られていく過程と曲が出来上がっていく過程が重ねられているのがおもしろい。本来なら切り捨てられるはずの試行錯誤そのものが既に映画であり音楽になっている。

⑨車が爆発してからこの世で最高の映画になります。

⑩視線や手などの演出が思ったより行き届いていたところが良かった。